『ミヒマリレニハ』宝泉ヒッピー スピンオフ

宝泉ヒッピー スピンオフ
『ミヒマリレニハ』をアップしました!

ミヒマルレニハは
宝泉ヒッピーの本編
[第6話]見知らぬ彼女  から登場する

主人公のサキと同じ惑星から
地球にやってきた戦闘ガール。
このスピンオフはミヒマリが

主役の物語です。

 

 

本編の『宝泉ヒッピー』は
こちらです♪

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宝泉ヒッピー
スピンオフ物語

 『 ミヒマリレニハ 』

 

1.  憧れはテラリスから
2.  地球を手に入れるための手段
3.  ラストシーンに雪が舞う

 

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1.    憧れはテラリスから  

 

 

木々を揺らす風がない。                      

 

それ以前の問題に
なってしまうのだが

一本の草さえ
ここには生えて
いないのだ。

 


「自然」と 呼べるものなど
ひとつもない。

これが、ミヒマリの育った 星だ。

 

 

少しだけ
ミヒマリの幼い頃の話を
させてほしい。


そうだな、10歳頃のことに
なるのだけれど
ミヒマリはある場所に
通いつめていたことがあった。

[
テラリス]という名前がついた
地球でいう図書館 のようなところだ。

 

 

なぜかというと、
そこには
彼女のお気に入りの
写真集が あったから。

                                                      
実際に図書館に出向くのではなく
電子データが進化したようなものを
自分の部屋で見るのだけれどね。

 


「なんて綺麗な星なの!」

それは、「地球」という星の
写真集だった。

ため息が出るほどの
美しい 写真たち。


うっとりと
眺めているうちに
「この星 をいつか自分のものにしたい!」と
ミヒマリは思わずには
いられなく なっていった。

 

 

2.    地球を手に入れるためには

 

 
「地球を君のものにしないか?」

というコピーに惹かれ
ミヒマリはあるプロジェクトに
参加することになる。


それが

「地球征服秘密諜報団LEO77」だ。



そして、その部隊に
同じ目的で参加していたのが
「サウスバレーサキ」だった。

    

 

二人は、
4年に渡る厳しい訓練の末
戦いの場所、
すなわち地球へ
赴くことが決まる。

 

 

サキは ミヒマリより2歳年上。

歳が近い ということもあり

夢や 悩みごとなど、様々な話をしてきた。


先輩 というよりは
姉のような 存在だった。

 

 

 

 

 

 

LEO77の部隊が
動き出すよりも先に

地球に乗り込んでいたサキ。

星の様子や
地球人の暮らしぶりなどを 観察し
報告することが 彼女の任務だ。

 



が、

ある日突然

サキからの連絡が途絶えた。


「サキさん、どうしちゃったんだろう」

ミヒマリは
地球への 旅立ちの準備をしながらも
サキのことが 心配でたまらなかった。

 

 

 

サキの消息が つかめぬま

数ヶ月後、
ミヒマリも地球へと赴任した。

 

到着から 程なくして                                            
[
群馬の国 太田市 宝泉町]のどこかに                                   

サキが 身を隠していることを
突き止める。

身を隠すという言葉が
あっているかどうかは

わからない。

なぜ、そうしなくてはいけないのか
思い当たる節もない。

ただ、気になることはあった。

地球人の男性と二人で
よく出かけているらしい。


これは、
その後の調査で
分かったことだ。

 

 

「サキさん、
地球征服の夢は 
一体どうなっちゃったの


と不安に思いながらも
多分、今はそうするしかない
サキの身を案じた。

 

 

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3. ラストシーンに雪が舞う 

 

 

太田駅の近くにある
「パニーニ」の店。
そこで、
サキを見つけたミヒマリは
彼女を力づくで
エレベーターに押し込めた。

                                                          

店の入り口ある
この超低速エレベーターは
「地球の軍団」との
戦いの場所に
繋がっていたのだ。


サキに着用を促した

「ピンク色のジャンプスーツ」は
LEO77」の戦闘服で

身を引き締めるための
小道具でもあった。

 

 

 

戦う相手は
『宝泉ヒッピー』
なんとも、
負ける気がしない名前だ。

 

 

けれど、                                                                                        

 

「宝泉ヒッピー」との戦いには
敢え無く 敗れてしまう。

いや、敗れたというよりは
早々に諦めたと言った方が
いいのかもしれないんだけどね。

 


どうして
弱小部隊「宝泉ヒッピー」に
負けてしまったのか。


それは、また別の機会に
話すことにしようか。

 

 

ミヒマリは思う。                                                 

 

「どうしてあの時
サキ先輩を 思いっきり

突き飛ばしちゃったんだろう」

 

敵が放ったミサイル。
それから守れたのは確かだったけど。

そのために、サキは地球から
戻れなくなってしまった。
(のかもしれない)

 

 

「自分とはもう永遠に会えなくなる。
それがわかっていたとしても
同じことをしていたのかな」

 

と、

 

何度も何度も
後悔した。

  

 

あの戦いから 数ヶ月が過ぎ                                    
すっかり冬の色に変わった
太田の街。


この時期のことを
「クリスマス」というらしい。
そう言えば、
地球特集で やっていた
ような気がする。



ミヒマリは遠い遠い自分の星から
地球に、
太田に、
焦点を合わせてみた。


太田の駅前は

相変わらずさびしい。

クリスマスというものが
本当に来るのだろうか
と言うくらいに。

 

 

と、

 

見覚えのある彼女が
ミヒマリとすれ違う。

 

 「あ、サキさん!」

 

 

隣にいるのは                                                
やさしい笑顔の 男性だった。


「彼女のことが、
きっと大好きなんだろう」

と、いうことが

わかりやすいほどに 伝わるし
痛いほどに 微笑ましい。

 



ミヒマリは
もう一度振り返る。

 

そして、

賑やかとは言えない
太田の、

クリスマスの街に 
消えていく

二人の姿を 見届けた。

 

 

                   

「サキ先輩、幸せにね」

 

そう言えた自分が
ちょっとだけ
かっこいいじゃないか。

 

 

と、ミヒマリは
思った。

 

 

 

 

[ Fin ]